COLUMN "HOLIDAY TSUSHIN"

2011.04.13 №043
震災から一ヶ月

 東日本大震災から一ヶ月が経ちました。ほのかに回復の兆しが見え始めたかと思いきや、余震等でまた引き戻される今日この頃です。

   計画停電が実施され始めた当初、当店では停電し営業出来ない事が数回あり、お客様にご面倒をおかけ致しました。計画停電は一段落したようですので、今のところ通常通りの営業が出来ております。ほんの数日停電になっただけでも、これほど日常に支障を来すものかと痛感させられました。

 さて、いつの間にやら桜が満開ですが、世間は自粛ムードで花見も少なく、更にそれに対して自粛すべきでない、と言われています。
 確かに、無駄に行事を自粛したりして、無駄に停滞してはいけないと思います。でも、何となく騒ぐ気になれない、という心情も大事なのではないかと私は思います。皆きっと何か心にひっかっかる物があり、それがとても大事な事だと思うのです。今はこの心のもやもやをしっかり見つめ、考える時なのではないでしょうか。そうしないと、ただ震災が風化するだけです。被災していない私達は、今もっと、今後の自分たちの在り方を真面目に考えなくてはならないと思います。

 「立ち止まって考える事」これこそが、戦後の日本社会に最も欠けていた事なのではないでしょうか。

 日本は確かに優れた技術国で、真面目で勤勉な日本人の性質は誇るべきです。でも、思想のない技術・経済成長がもたらした弊害がまさに原発の人災に代表されるのではないでしょうか。

 原発事故は東京電力や政治家だけの責任ではなく、電力を使う者全体の責任でもあります。これだけ社会が複雑になると、物事が間接的になってしまい、どうも直接関わる者だけが責任を問われる傾向があるようですが、本当は私達全員の問題ですよね。
 原発を作ったのは政治家と電力会社かもしれませんが、その政治家を選ぶのは私達ですし、何も考えずに電気を使っているのも私達です。

   先日の統一地方選の投票率も思ったより高くなりませんでした。
 本当にどうにかしたいと思うのなら、目の前の放射線ばかり気にしていないで、選挙に行くべきだと思います。政治家もしっかり選ばねば良い社会にはなりませんし、何より思考を放棄した民衆に良い社会など作り得ないからです。恐らく世の中には放射線より危険な物もたくさんあるのに、私達がよく見ずよく考えていないだけだと思うのです。

 便利で元通りの生活に戻ったらまた、私達は同じ事を繰り返してしまうに違いありません。なかなか収束の兆しが見えない現状は、そう簡単には戻してやらないぞ、と警告しているように思えます。

 今、考える時なのではないでしょうか。

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